濃厚接触者のケア(入所施設)

施設内で濃厚接触者となった方へのケアで、気を付けることはありますか?
例えば、どうしても近い距離での食事介助になってしまって、感染のリスクが心配です。

かかわりのポイント

1. 施設の入所者が濃厚接触者となった場合の対応

濃厚接触者となった利用者については、保健所と相談の上、以下の対応を行います。
なお、濃厚接触者については14日間にわたり健康状態を観察することとしており、以下の対応は感染者との最終接触から14日間行うことが基本となりますが、詳細な期間や対応については保健所の指示に従ってください。

  •  当該利用者については、原則として個室に移動する。
  •  有症状となった場合は、速やかに別室に移動する。
  •  個室が足りない場合は、症状のない濃厚接触者を同室とする。
  •  個室管理ができない場合は、濃厚接触者にマスクの着用を求めた上で、「ベッドの間隔を 2m以上あける」または「ベッド間をカーテンで仕切る」等の対応を実施する。
  •  濃厚接触者が部屋を出る場合はマスクを着用し、手洗い、アルコール消毒による手指衛生を徹底する。
  •  当該利用者とその他の利用者の介護等に当たっては、可能な限り担当職員を分けて対応を行う。
  •  職員のうち、基礎疾患を有する者及び妊婦等は、感染した際に重篤化するおそれが高いため、勤務上の配慮を行うこと。
  •  当該利用者へのケアに当たっては、部屋の換気を1、2時間ごとに5~10分間行うこととする。また、共有スペースや他の部屋についても窓を開け、換気を実施する。
  •  職員は使い捨て手袋とサージカルマスクを着用する。咳込みなどがあり、飛沫感染のリスクが高い状況では、必要に応じてゴーグルやフェイスシールド、使い捨て袖付きエプロン、ガウン等を着用する。
  •  体温計等の器具は、可能な限り当該利用者専用とする。その他の利用者にも使用する場合は、消毒用エタノールで清拭を行う。
  •  ケアの開始時と終了時に、(液体)石けんと流水による手洗いまたは消毒用エタノール による手指消毒を実施する。手指消毒の前に顔(目・鼻・口)を触らないように注意する。「1ケア1手洗い」、「ケア前後の手洗い」を基本とする。
  •  濃厚接触者のうち有症状者については、リハビリテーション等は実施しないこと。無症状者については、利用者は手洗い、アルコール消毒による手指消毒を徹底し、職員は適切な感染防護を行った上で個室又はベッドサイドにおいて、実施も可能であること。

【出典】
厚生労働省:社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)(一部改正)
(5)新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者等への適切な対応の実施
p.8-11

2. 濃厚接触者に対する個別のケア等の実施に当たっての留意点

食事や排泄といった日常生活のケアを行う際は、特に下記の点に注意しましょう。

(ⅰ)食事

  • 食事介助は、原則個室で行います
  • 食事の前には利用者に(液体)石けんと流水による手洗い等を実施してもらいま
  • 食器の後処理については、予め使い捨ての容器を使用するか、または、濃厚接触
    者のものを分けた上で、熱水洗浄が可能な自動食器洗浄機(熱水消毒)により洗
    います
  • まな板、ふきんは、洗剤で十分洗い、熱水消毒をするか、次亜塩素酸ナトリウム
    液に浸漬後に洗浄します
  • 食事介助を行う際には、利用者のムセ込みや咳払いに備えて左右に位置して介助を行
    います。また、座位や姿勢を直す際に密着することも考えられるため、手袋に加え、
    マスク、フェイスシールドやゴーグル、使い捨てエプロンを着用します
    <ポイント>
  • 介助は1名ずつ、ななめ後ろから飲み込みの様子を観察しながら行います
  • 食事中は言葉による会話をできるだけ避け、うなずきサインなどでコミュニケーションを行います
  • むせやすい方の場合、あらかじめフェイスタオルを用意し、むせた場合にそっと口を覆います。職員は上体を後ろに引いて、唾液等を浴びないよう注意します
  • 他の利用者の介助が必要になった際には、あらかじめ手袋を2重に用意し、1枚はずして対応する、または他の職員に介助を依頼するなど工夫します

(ⅱ)排泄

  • 使用するトイレの空間は分けます
  • おむつ交換の際は、排泄物に直接触れない場合であっても、手袋に加え、マスク、使
    い捨てエプロンを着用します
  • 使用済みおむつは感染性廃棄物として処理します
  • ポータブルトイレを利用する場合の介助も同様に行います(使用後ポータブルトイレ
    は洗浄し、次亜塩素酸ナトリウム液やベッドパンウォッシャー等で処理)

(ⅲ)清潔・入浴

  • 介助が必要な場合は、原則として清拭で対応します
  • 清拭で使用したタオル等は熱水洗濯機(80℃10 分間)で洗浄後、乾燥を行うか、ま
    たは、次亜塩素酸ナトリウム液浸漬後、洗濯、乾燥します
  • 個人専用の浴室で介助なく入浴ができる場合は、入浴を行ってもらいます。その際
    も、必要な清掃等を実施します

(ⅳ)リネン・衣類の洗濯等

  • 濃厚接触者が使用したリネンや衣類については、その他の利用者と必ずしも分ける必
    要はありません
  • 熱水洗濯機(80℃10 分間)で処理し、洗浄後乾燥させるか、または、次亜塩素酸ナ
    トリウム液浸漬後、洗濯、乾燥します
  • 鼻をかんだティッシュ等のゴミの処理は、ビニール袋に入れて感染性廃棄物として処
    理します

【出典】
厚生労働省
介護現場における感染対策の手引き(第1版)
p.96-97

下記リンクには、写真付きでケア方法の注意点について紹介されています。

96頁(ケア方法写真:食事介助のポイント)

99頁(ケア方法写真)

104頁(ケア方法留意点)